学術部栗原です。今回の日本医療機器学会大会では、今まで報告されて来なかった日本の滅菌の歴史における新事実について一般演題で報告することができました。昨年12月発行の医療機器学に千船病院水谷先生と共同執筆させていただいた「滅菌技術の医療現場への適用の歴史−その起源と日本への導入−」。この論文の中で、「東京帝国医科大学 宇野朗教授がシンメルブッシュ式蒸気滅菌器を輸入した1892年と同じ年に、九州大学病院の前身の県立福岡病院院長の大森治豊先生がドイツ臨床外科学会誌の情報だけを頼りにシンメルブッシュ式蒸気滅菌器を自作して、見学に来た国立病院機構熊本医療センターの前身である熊本衛戌病院の軍医・芳賀栄次郎先生に滅菌器の機構を紹介し、芳賀先生も大森先生を真似てシンメルブッシュ式蒸気滅菌器を自作した。日本に蒸気滅菌器の技術が導入されたのは、どうやらこの1892年が最初である。」この新事実を報告いたしました。福岡県でFOSS研鑽会、熊本県では熊本県滅菌業務研究会と、どうやら大森先生と芳賀先生が切り拓いた滅菌供給業務の道は、現在の研究会にも通じているようです。一般演題で講演したスライドをアップいたします。滅菌の歴史を学ぶと将来に向かってどのように改良・開発を進めていけばいいかのきっかけを掴むことできると、30年ほど前に、岡山大学手術部助教授・新太喜治先生が滅菌消毒ハンドブックの執筆で報告されております。今後も、滅菌の歴史を調査し、学会で報告したいと考えております。滅菌の歴史に興味を抱いた方は、印旛医科器械歴史資料館への訪問をお勧めいたします。シンメルブッシュ式滅菌器も実物を見学することができます。
昨年12月発行の医療機器学の学会誌に掲載されました論文は、別刷を準備しておりますので、ご希望の方は弊社までお問い合わせください。また、お急ぎの方は、こちらのメディカルオンラインのWEBサイトでも有償になりますが、ダウンロードすることが可能です。
一般演題での発表資料は、下記のダウンロードボタンからご入手ください(サイズ1.4MB)
発表資料はこちら
今回の一般演題で発表しました内容は、2021年12月13日から2022年1月12日までWEB開催されました第96回日本医療機器学科会大会で講演いたしました、パネルディスカッション1の続編となります。その時の発表内容はこちらをご覧ください。
私に与えられました今後の学術講演は、現在のところ、下記の通りの予定となっております。
2023年7月22日(土) 第34回機器と感染カンファレンス(新潟)
「事例から学ぶ低温滅菌の基礎と取扱いの注意点」の講演を予定しています。
2023年8月26日(日) 第12回鹿児島滅菌供給を考える会(MSS鹿児島)
低温滅菌の基礎とLTSF滅菌に関する講演を予定しています。
2023年12月16日(土) 第24回第2種滅菌技士認定学科講習会(横浜)
蒸気滅菌を担当致します。
このほかに11月12日(日)広島感染防止及び滅菌業務研究会、12月3日(日)北陸中材業務・感染対策研究会にて登壇させていただく予定です。
講演内容などの詳細は各研究会のホームページでご確認のほどお願い申し上げます。